綾戸智恵「40・50代の介護世代は体力が必要…」

「介護っていうのは、介護される側と病院の話、そんなんだけじゃない。いちばん大事なんは、介護する側の健康。10年介護してきて、つくづく思うわけです」

そう語るのは、6月3日にDVD付き書籍『ロコモサイズ 美筋ダイエット』(光文社刊)が発売される綾戸智恵さん(56)。綾戸さんは、’04年に脳こうそくで倒れ、のちに認知症となった母・ユヅルさんの介護を、10年にわたり続けている。

「介護ってね、自分の体力があるとき、ないときによって、いろいろ感覚が変わるんです。自分が健康じゃないと『なんで生きてんの?』と思うこともあるやん。

けど、自分が調子よくなると、車いすを押していても『あ〜、生きててくれてありがとう! おばあちゃんのおかげで(大人用オムツの)コマーシャルきまして〜ん。あんた死んだら、契約切れるわ〜』って冗談が言える。

そんな笑い話が通じるのも、私が車いすを押す元気があるからなんです」
綾戸さんは自身の介護生活の中から「介護する世代の健康」を考えるようになったという。

「じゃあ、体力をつけましょう、健康になりましょう、そのために運動しましょう、といわれてもな。40代のころ、フィットネスに通ったことがあった。だけど、ジムには『私ら、運動ツラくて、来るのがイヤで……』っていう人が山ほどいたよ。

トレーニングというのは、体に効いているという実感はあっても、楽しくないと、入り込むのが難しいのかもしれないね。あの『ちゃんとやりましょう!』って感じがダメなんじゃないかと思うんですよ」

40代・50代ともなると、体は足腰からどんどん衰え、疲れやすくなり、気持ちもめいってしまう……まず、自分の足腰が若く健康であるためには、日ごろから適度に運動することが大切、とわかってはいるが——。

「そこで今回、「ロコモサイズ」という体操に、ジャズをつけてみたんです。音楽って不思議よね、『ほら、動きが激しくなりますよ〜。ここは倍いきまっせ〜』とか、『さあ、終わりました。ご苦労さんでした、整えましょう』というのを、メロディだけ、音階だけで伝えられる。説明なんていらない。

ドミソの役目って、そういうことなんですよね。1、2、1、2、っていうんじゃなく、山が見えたり、海が見えたり、景色が見えてくるような。楽しく運動できるもの、そう思って音楽を作りました。ジャズでリラックスしながら運動してほしいですね」

お母様を実際に介護されてきた綾戸さんだから気づくことも多々あると思います。
また、アーティストとしての感性があって気づくこともあるかもしれません。

しかし、同じ人は一人としていません。皆さんお一人お一人はかけがえのない存在なのです。

様々な環境で介護をされている方もいるかもしれませんが、前向きに介護と向き合える未来のために、住まい65も皆様のお役に立てるよう、相談員一同励んで参ります。