有料老人ホームの入居一時金について

<入居一時金の今後>
老人福祉法が改正(2011年6月成立)され、事業者が受領できる前払金は、「家賃、敷金及び介護等その他の日常生活上必要な便宜の供与の対価」(以下「家賃等」)とされ、「権利金その他の金品」名目での受領が禁止されました。(老人福祉法第29条第6項)
(施行日は平成24年4月1日ですが、既存施設には3年間の経過措置があるため、平成27年3月31日までは従来のままでも可能です。)

どういうことかというと、今までの入居一時金の中には、施設を利用するための権利が含まれているところが大半でしたが、それが禁止され、家賃等に限定されました。有料老人ホームの入居一時金が高額であったのが、この権利の部分だったので、それが廃止となったのは非常に大きな影響が考えられます。また、入居一時金が家賃等の前払金に限定されたことにより、前払金は預かり金であり、初期償却が認められる性格のものではなくなると考えられています。

既に東京都は、「東京都有料老人ホーム設置運営指導指針」を改正し、「前払金が家賃等の対価であることに照らし、前払金の全部又は一部を返還対象としないことは、適切でないこと」(「9.利用料等 (4)前払金 ウ」)との条項を設けました。この条項は、実質的に前払金から初期償却を行うことは不適切との趣旨です。指針に強制力はありませんが、東京都が「前払金から初期償却を行うことは不適切」との趣旨を明確にしています。

上記の改正は、既存施設では平成27年3月31日まで経過措置があるため料金設定を変更していない所もまだありますが、来月(4月1日)以降は、料金設定の変更がなされていくため留意する必要があります。

今後とも料金に関する記事を随時更新して参ります。